暑い季節、時任邸では、玄関の扉にチェーンを掛けて、少し開けて風が通るようにしています。

 夜中、玄関でジジジっと音がするのに気がついた。
 何かと思って近づいてみると、明らかに虫が侵入しようとして、もがいている音。
 暗くて、よくわからないが、直感が警鐘を鳴らす。

 奴だ、今年も黒光りの奴がやってきた!

 しかも、ご丁寧に玄関から。
 ただ、抜けているのが、扉の横はしっかり開いているのに、扉の上の狭い部分から入ろうとしているために、挟まれた形でジジジともがく羽目に…。
 人間の視野からすれば、横から入ればいいのに(入られても困るが…)上からって…。
 薄べったいその体でどこでも入れると過信していたようです。

 いやいや、そんな見解はその時点はでは全く無効で、逆に上からで良かった。
 はてさて、どうするか。
 勇気ある人は、そのまま扉を閉めて、圧死させることもできるのでしょうか、すいません、そんな勇気、私にはございませんっ!
 やったとしても、その後の処理ができない…
 でも、このまま扉に挟まれて、ジタバタされていても困る…う〜〜〜ん
 ということで、手を汚さずに対応する術は!

 扉の前に立ち、深呼吸。
 イチカバチカで扉を ドンっと叩く。
 さぁ、どうなる!
 結果、見事驚いてくれた奴は、慌てて外へ羽ばたいていきました。
 ああ、良かった、本当に良かった!
 脱力する前に、すかさず扉をしっかりと閉める。
 これで、今日のところはひと安心。
 それと同時に、進入を阻止できたことの充足感まで味わってしまった。任務完了!

 本当に奴の存在は、実体がある分、幽霊より怖い…あ〜、怖かった…。


 
 
 


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